小学生がなりたい将来の夢ランキングにYouTuberがランクインするくらい、今となってはYouTuberは立派な「職業」になってきています。
近年では一般人だけでなく、芸能人のYouTuberデビューも増えてきていました。
誰も知らない素人の動画より、知名度があり普段からテレビに出ている有名人の方が有利だろう。
芸能人YouTuberがあまりいない時代は、そのように思われていました。
しかし、蓋を開けてみると芸能人がYouTubeで苦戦を強いられています。
再生回数が伸びずに撤退する芸能人YouTuberもいれば、継続しているものの相変わらず伸び悩んでいる人もいます。
では、芸能人が全員YouTubeで失敗しているかというとそういうわけではありません。
中には、YouTubeで成功している芸能人もいます。
YouTuberとして成功する芸能人、失敗する芸能人の違いについて検証していきます。
目次
YouTubeで成功した芸能人
オリエンタルラジオ中田敦彦
オリエンタルラジオ中田は中田敦彦のYouTube大学というチャンネルから動画を投稿しています。
2019年8月現在でチャンネル登録者数は約70万人です。
私もよくオリラジ中田のYouTubeを見ていてチャンネル登録もしています。
投稿内容は、政治やビジネスといった時事ネタや歴史、著名人との対談等多岐に渡ります。
私が主に見ているのは時事ネタと歴史ネタです。
私がオリラジ中田の動画を見る理由は、わかりやすくて勉強になるからです。
扱っているネタは政治、経済等難しいのですが、解説がとてもわかりやすいです。
普段、政治や経済に興味がない人が初めて見てもわかりやすいように噛み砕いて説明してくれます。
歴史ネタは教科書には載っていないような裏話までしてくれます。
教科書のような無機質な文章ではなく、歴史上の人物の性格や歴史背景がわかるストーリーを交えて伝えてくれるので記憶に定着しやすいです。
中田さんが教員免許を持っているかどうかは知りませんが、そこら辺の教師や予備校講師よりもよっぽど教えるのが上手です。
私が学生だったら間違いなく、オリラジ中田のYouTubeで歴史の勉強をしますね。
「中田敦彦のYouTube大学」の想定されるターゲットは、オリラジ中田のファン、時事ネタ好きの人、学生等が考えられます。
芸人としてのネタは公開していないので、オリラジのネタが見たい!という人は恐らくターゲットとしては外れています。
キングコング梶原雄太
「カジサックKAJISAC」の名前で2018年にYouTuberデビューしたのがキングコングの梶原です。
2019年末までにチャンネル登録数100万人を超えなかったら芸人を引退すると宣言していましたが、2019年7月に登録者数100万人に到達しました。
ビッグマウスなため反感を買って炎上しやすいタイプの芸人ですが、嫌いな人が多い一方で、着実にファンも増やし続けていました。
キングコング梶原のYouTube動画コンテンツは、芸人仲間や有名YouTuberとの対談、家族ネタ、身体をはったバラエティネタが中心です。
私は対談系の動画しか見ていませんが、ゲストの本音を引き出すのがうまいという印象を受けました。
ゲストがテレビでは言えないような本音の部分を話すので、芸能ネタが好きな人にとっては見る価値があります。
カジサックチャンネルでは、奥さんやお子様も出演しているので、家族で見ても楽しめる内容になっています。
カジサックとは別にキングコングのコンビとして毎週キングコングというチャンネルも公開しています。
こちらは2019年8月現在登録者数20万人程度ですが、どちらかというと私はカジサックよりも毎週キングコングの方が好きです。
毎週キングコングはキングコングの梶原と西野の2人の対談がメインです。
バラエティ色が強いカジサックより、本音で語り合う対談動画の方が私の好みなので、毎週キングコングの方を私はチャンネル登録しています。
「カジサックKAJISAC」の想定されるターゲットは、キングコング梶原のファン、ファミリー層、芸能ネタが好きな人等が挙げれられます。
ヒロシ
「ヒロシです。」の自虐ネタで2004年頃ブレイクしたヒロシのYouTubeチャンネル「ヒロシちゃんねる」も人気を集めています。
ヒロシです。のネタ以外では目立った活躍もなく、テレビからフェードアウトしていまったため、一発屋芸人というイメージが強いですが、現在では人気YouTuberとしてコアなファンを獲得しています。
ヒロシのYouTube動画ですが、今となっては数多い芸能人YouTuberの中でも一際異彩を放っています。
内容は、ほぼキャンプ動画のみです。
芸人の要素はありません。
前に挙げた、オリラジ中田やキングコング梶原はネタ動画ではないものの、芸人らしく饒舌でトークの中に笑いの要素もふんだんに取り入れていますが、ヒロシのYouTubeの場合、笑いの要素ゼロです。笑
淡々と自分が好きなキャンプの動画を上げています。
キャンプの道具について説明したりもするのですが、笑わせようとしている感じはありません。
いい意味で自然体です。
投稿された動画によっては、ほぼ顔出し無し、トークなしという動画もあります。
ただひたすらキャンプの様子やそこから見える風景を撮影するというスタイルです。
ヒロシちゃんねるの想定されるターゲットは、キャンプが好きな人です。
ほぼこの一択だと思います。
芸人としてのヒロシが好きな人が登録するような内容ではありません。
かなりコアな趣味に特化したYouTubeチャンネルですが、登録者数は40万人を超えています。
動画のコメント欄を見てみると、余計なことはしゃべらないシンプルな構成と映像の美しさが好評のようです。
癒しを求めてやってくる人も多いようです。
本田翼
本田翼はほんだのばいくというチャンネルでゲームの実況動画をアップしています。
今のところ2018年9月に2本アップしただけで、それ以来更新が滞っています。
それでも100万人を超える登録者がいます。
本田翼の動画のすごいところは本人が一切映っていないところです。
一般人がよく公開している音声とゲームの画面のみの演出となっています。
投稿動画を見る限り、ゲームについての何か特別な知識を披露しているわけでもなく純粋にゲームを楽しんでいる様子です。
動画の内容よりも、本田翼がゲームの実況動画を投稿したということ自体が話題になっているようです。
通常、YouTuberというのは投稿者の知名度よりもコンテンツ重視で評価される傾向がありますが、芸能人という強みをそのままYouTuberとしても発揮できた珍しい例ですね。
一般的にモデルや女優がYouTuberとしてデビューする場合、美容や健康といった美貌を活かした切り口からネタを探し出す人が多いです。
ところが、本田翼さんの場合、顔も見せないし、ゲーム実況という普段の仕事とはかけ離れたジャンルをチョイスしました。
このことが良い意味でのギャップとなり、注目されたのかもしれません。
本田翼という人気女優がオタク向けと思われていたゲーム実況動画を公開したことで、ゲーム実況が身近に感じられるようになった人が増えたかもしれませんね。
そういう意味で本田翼はゲーム実況業界にも好影響をもたらしたと言えます。
ほんだのばいくの主なターゲットは本田翼のファンとゲーム好きの人になります。
YouTubeで伸び悩んでいる芸能人
一方でYouTuberとしてデビューしたものの、登録者数も再生回数も伸び悩んでいる芸能人もいます。
波田陽区
youku maniaというチャンネルで動画を公開しています。
波田陽区といえばギター侍として一躍有名になった芸人です。
前述のヒロシ同様、一発屋芸人にくくられることが多いです。
YouTuberとして、ヒロシは成功していますが、波田陽区は成功しているとは言えません。
同じ時期に活躍した一発屋芸人という意味では同じ条件ですが、YouTuberとしての差は広がっています。
波田陽区はYouTubeで「こんなところにフェニックス」というシリーズのネタを定期的にアップしています。
こんなところにフェニックスシリーズは4年前から公開されていますが、今でも週1ペースでアップされています。
継続しているという点ではすごいのですが、登録者数は2,000人余り。
最近の投稿の再生回数は1,000回以下がほとんどということで、知名度の割には物足りない数字です。
ターゲットは波田陽区のファンになります。
バカリズム
バカリズム Official YouTube Channelは主にバカリズムが自分のネタを披露するチャンネルです。
登録者数は15万人弱と知名度の割に多くありません。
バカリズムは現在もテレビ番組に多く出演する売れっ子芸人です。
最近テレビにほどんど出ていないキングコング梶原やヒロシに比べて知名度は高そうですが、YouTubeの世界では負けています。
バカリズムは芸人として自分のネタを披露していますが、内容的には面白いと思います。
その割に動画再生回数は多くありません。
ターゲットはバカリズムのファンになります。
バカリズムのYouTubeが成功しないのには理由があります。
それは、テレビとYouTubeの差別化ができていないからです。
テレビと同じようにネタを披露していればファンも付いてくるというのは間違いです。
バカリズムのネタであればテレビでも見ることができます。
YouTubeでも誰かがテレビを録画した分をアップしています。
バカリズムの場合、専用のチャンネルがなくてもネタを披露する場はいくらでもあるのです。
視聴者からすれば、あえてバカリズムの公式チャンネルを登録する理由がなくなってしまいます。
登録するのは、余程バカリズムのことが好きなファンくらいでしょう。
所ジョージ
YouTuberになった芸能人と言えば若手が多いイメージですが、大御所タレントの所ジョージもYouTuberとして活躍しています。
世田谷一郎という名前で投稿しているので、所ジョージと気付かない人がいるかもしれませんね。
所ジョージのYouTubeチャンネルに投稿されている動画の大半は歌です。
「所ジョージ 最近の唄」というタイトルでコンスタントに動画を投稿しています。
チャンネル登録者数約14万人と大御所にしては少ない数字です。
所ジョージと言えばテレビでも時々歌を歌っていますが、歌手としては大成していません。
所ジョージのような自由な生き方に憧れる人は多いと思います。
しかし、所ジョージの歌を聴きたい人というのはあまり多くないようですね。
芸人の場合、テレビでの活躍が難しくなったから活躍の場をYouTubeに求めてやってきた人が多いですが、所ジョージの場合、テレビだけでも十分な収入があるのでYouTubeで成功したいという欲が無いのだと思います。
広告が流れないので、おそらく収益化すらしてないようです。
完全に趣味の世界ですね。
所ジョージの場合、単純に好きな歌を公開したいだけで、YouTubeで成功するとか登録者数を増やすとか、ビジネス的な観点で動画をアップしていないように思えます。
YouTubeで成功する芸能人と失敗する芸能人の違い
芸能人YouTuberの成功例と失敗例を見てきましたが成功者と苦戦する人の特徴を挙げていきます。
YouTubeで成功する人の特徴
①本職以外の特技を公開している
芸人であれば、芸人としてのネタをYouTubeで公開するより、それ以外のテーマにした方が成功しやすいようです。
オリエンタルラジオ中田もキングコング梶原もヒロシも芸人としてのネタ以外で勝負しています。
オリラジ中田であれば豊富な知識を活かした解説動画で人気を博しています。
キングコング梶原は家族ネタや芸能界裏話、梶原独自のバラエティチャンネルとしてYouTubeを利用しています。
ヒロシはキャンプという趣味の分野で活躍しています。
本田翼の場合、女優やモデルといった本業とはかけ離れたゲームという趣味を公開しています。
②コアなファンを獲得している
YouTuberとして活躍している芸能人は意外とテレビで見かけなくなった人が多いです。
オリラジ中田もキングコング梶原もテレビでの好感度は低く、テレビから干されていった印象があります。
テレビ番組では共演者が多数存在するので、周りの空気を読むことを求められます。
好感度が低い芸能人というのは、周りの空気を読まずに思ったことをそのまま言う傾向があります。
その結果、視聴者からの反感を買うのです。
しかし、YouTubeの場合、空気を読むといった面倒な作業は要りません。
主役も演出も自分自身なので、自分が好きなことを好きなようにすることができます。
テレビでは自分の番組を持つことができないし、冠番組ができたところで番組プロデューサーがいるので、自分が好きなように進行することはできません。
YouTubeであればテレビで放送できないようなマニアックな内容でも好きなだけ語れます。
誰にも縛られずに本音で語れる場、それがYouTubeです。
自分が思っていることを率直に話していれば、自然と共感する人が集まってきます。
テレビでは好感の持てる万人受けタイプが重宝されますが、YouTubeでは好感度がなくても考え方がはっきりしている人の方が支持されやすいのです。
そのためコアなファンを獲得できる人ほどYouTubeでは成功しやすいです。
③親近感のある動画を提供している
YouTubeでテレビと同じようなことをしてもテレビの人というイメージで親近感が湧きません。
しかし、普段テレビでは見せない顔を見せることで親近感が湧きます。
私が取り上げた中で一番の成功例は、本田翼です。
本田翼はテレビではドラマやバラエティで活躍して一般人から見れば高嶺の花です。
そんな本田翼が突如、自宅でゲームをしながらはしゃいでいる動画をアップしたのでファンからすれば急に身近な存在に思えてくるのです。
ゲームをしている姿を見せずに声だけで100万人もの視聴者が集まるのですからすごいですね!
オリラジ中田であれば、講師的な立場ですが扱う内容が歴史とかなので学校の先生みたいな感じで身近に思えてきます。政治・経済の話も庶民の立場で話しているので、テレビで強気な発言をしている時よりも好感が持てます。
カジサックに至っては家族を全員公開しているのでプライベート感が満載ですね。
ヒロシに関しては芸能人というよりも、最早ただのキャンプマニアです。笑
YouTubeで失敗する人の特徴
①テレビとYouTubeの違いがわかっていない
芸人に多く見られるのですが、芸人が自分のチャンネルで自分のネタを披露するのは、あまりメリットがありません。
ネタであればテレビで見られますし、YouTubeであれば自分でネタをアップしなくても誰かが勝手に過去のネタをアップします。
波田陽区のような一発屋であれば、そもそもネタを披露する場がないからYouTubeで披露しても良いと思うかもしれませんが、残念ながらフェニックスネタはYouTubeにおいても需要がありません。
需要がない動画を継続して撮り続けるのは、努力の方向性が間違っています。
売れないネタを作り続けるよりも、意外な趣味を見つけて投稿した方が視聴者からの支持を集めやすいでしょう。
ここからは余談ですが、芸人がネタをYouTubeで公開した方が良い場合もあります。
それは無名の芸人です。
売れっ子芸人であれば、YouTubeでネタを公開しなくてもみんな知っているのでメリットがありません。
しかし、無名の芸人は自分たちの芸を知ってもらうことから始める必要があります。
その場合、自分のチャンネルでネタを公開するのも有りだと思います。
②自分本位の動画を投稿している
知名度がある割に伸び悩んでいる芸能人は自分本位の動画を投稿している傾向があります。
俺のネタを見て!とか、もっと私を見て!
と自分をアピールしたがっている人は、あまり再生回数が伸びません。
残念ながら、自分が思っているほど世間はあなたに興味がありません。
では、どんな動画をアップすれば良いかというと他人の役に立つ動画をアップすれば良いです。
私はオリラジ中田のチャンネル登録をしていますが、オリラジ中田のファンというわけではありません。
なぜ登録しているかというと、すごく勉強になるからです。
学校の先生でも、こういう人いませんか?
人としては好きになれないけど、教え方はめちゃくちゃうまい!
私がオリラジ中田をフォローする理由はそれに近いです。
芸人として嫌いというわけではありませんが、ビジネスマンとして尊敬するので登録しています。
仮にオリラジ中田が自分の芸人としてのネタばかり公開するチャンネルを作っていたらフォローしていなかったでしょう。
人気モデルがメイクの動画で支持を集めるのは、単にそのモデルが人気だからではないのです。
メイクの仕方の参考になるから登録しているのです。
ということでYouTubeで成功するには自己満足動画ではなく、視聴者にとってメリットのある動画を撮った方が良いと言えます。
所ジョージの場合、歌手としての需要は低いので自己満足動画に分類されますが、彼の場合、おそらくYouTubeで稼ぐことが目的になっていないので、今のスタイルを変える必要はないのかなと思います。
まとめ
芸能人は知名度だけではYouTuberで成功を収めることはできません。
テレビと同じようなパフォーマンスをしている人も活躍できません。
YouTuberで成功するには自分本位のサービスよりも視聴者が求める内容のコンテンツを追求した方が成果が上げられる傾向にあります。
このことは芸能人に限らずYouTuberを収入源にしたい人すべてに共通して言えると思います。
YouTubeは戦略次第では一般人でも知名度の高い芸能人よりも人気YouTuberになれる可能性があります。
芸能人も芸能人はYouTubeで稼げないという思い込みをなくして視聴者に役立つコンテンツを提供すれば、まだまだ可能性があると言えます。