かんぽ生命保険が顧客に対して不適切販売を行っていたことが発覚し問題になっています。
誰もが知っている大企業の商品であれば安心!
そんな時代は終わろうとしています。
これからの時代は保険会社のネームバリューやCMのイメージだけで保険選びをするのではなく、契約内容までしっかりと確認した上で契約することが重要です。
かんぽ生命では、販売員が顧客に対して、保険の乗り換え時に無保険期間を作る提案や二重契約期間を設けた乗り換えを提案し、顧客にとって不利益となる契約を結ばせたことが問題となっています。
販売員の営業成績を上げることだけを目的とし、顧客にとっては何のメリットもなく、無保険期間のリスクや二重支払と言ったデメリットしかない内容でした。
かんぽ生命保険と言えば元国営の日本郵政のグループ会社です。
郵便局が扱う保険として、多くの国民から信用されている会社です。
保険のことはあまりわからないけど、郵便局に任せておけば安心!
内容よりも「日本郵政」、「かんぽ生命」というブランドを信じて保険の契約を結ぶ人はたくさんいます。
二重支払等顧客にとって不利益となる契約を結んでいた事例は、わかっているだけでも2万件以上が確認されています。
今回の問題とは無関係の人もいますが、2014年6月末時点でのかんぽ生命単体の保有契約数は生命保険が1,200万件を超えています。
契約件数=契約人数というわけではありませんが、仮に契約件数と同等の契約者数がいるとすると日本に住んでいる人のうち10人に1人は、かんぽ生命の生命保険に加入している計算になります。
元国営で契約者数も圧倒的に多いという実績があれば、なんとなく安心できそうな気がしますよね!?
しかしながら、実態は全く違っていました。
今回は学資保険にポイントを絞って解説していきます。
目次
かんぽ生命の学資保険の実態
何かと話題のかんぽ生命ですが、その中でも学資保険について調べてみました。
理由は私にも0歳児の子供がいて興味があるジャンルだからです。
かんぽ生命の学資保険は「はじめのかんぽ」という商品名で販売されています。
まず、はじめのかんぽの契約者数について調べました。
残念ながら契約者数について具体的な数字はわかりませんでした。
ただ、かんぽ生命が発表しているかんぽ生命の現状2017によると平成28年(2016年)度の新規契約者数は明らかになりました。
学資保険に限った統計ではありませんが、かんぽ生命の保険に平成28年新規契約した件数は244万件に及びます。
そのうち学資保険は14.2%と書いてあるので約35万件が1年間で新規契約を結んだと推測されます。
新規契約だけで35万件なので、全体の契約者数はその何倍もの件数になると思われます。
日本国民から多くの支持を集めるかんぽ生命の学資保険ですが、納得できるほどの保障内容になっているのでしょうか?
学資保険とは?
商品の内容を調査する前に、そもそも学資保険とは何か?というところから説明していきます。
学資保険とは基本的に子供の進学に備えてお金を貯める貯蓄型の保険です。
貯金だけだと教育費の為の口座を別に設けないと子どものための貯金とそれ以外の目的の貯金の区別がつきにくくなります。
そういった意味で、学資保険は何のために使う保険なのか目的がはっきりしているので親としてはお金の管理が楽になります。
万が一、満期を迎える前に契約者(親)が亡くなったとしたら、それ以降の払い込みは不要となり、保障内容は継続されます。学資保険に入っていれば、親が亡くなってしまったとしても進学には困らないお金が確保できます。
学資保険の中には医療特約が付いた保険もありますが、個人的には医療特約を付けるのはおすすめしません。
学資保険とは本来、貯蓄するのが目的の保険のはずです。
しかし、医療保険は掛け捨てでお金を減らす保険です。
医療特約を付けてしまうと満期まで払込を完了しても、いざお金を受け取るときに元本割れしてしまいます。
お金を貯めるための保険に入ったつもりの保険が、最終的に支払った金額よりも受け取る金額の方が少なくなってしまったら本末転倒だと思いませんか?
一般的に学資保険は貯蓄目的のみであれば通常満期で返戻率100%以上で返ってきます。
返戻率が100%を超えていれば、その分利益になります。
例えば元本300万円に対し、返戻率105%であれば315万円が支払われます。
15万円の利益になる計算です。
返戻率が100%を下回れば、その分損をします。
例えば元本300万円に対し、返戻率95%であれば285万円が支払われます。
15万円の損になる計算です。
はじめのかんぽの契約内容について
かんぽ生命の学資保険「はじめのかんぽ」について調べてみました。
かんぽ生命の公式HPを見てみると上記のような図が出てきます。
保険料を子供が17歳または18歳になるまで払い込んだ場合、大学入学時に学資金として300万円受け取れますよ。という例を紹介してあります。
これだけでは払込料がわかりませんよね?
ということで、パンフレットを取り寄せてみました。
そこにはHPには載っていない払込保険料の例まで記入されていました。
なるほど!
18歳満期の場合、医療特約を付けずに300万円受け取るには契約者が男性の場合、月々の支払額は14,640円。
総額は14,640円×12ヶ月×18年=3,162,240円になるわけですね!
3,162,240円の払込に対して、満期で受け取れる金額は3,000,000円!!
18年かけて必死に貯めたのに162,240円損するんですね!
契約者の人は損をしてでも、元国営のかんぽ生命であれば安心して預けられるというわけですね!
かんぽ生命の学資保険は元本割れするという噂を聞いていましたが、それは医療特約が付いているからだと思っていました。
しかし、実態を調べてみると医療特約を付けなくても元本割れ。
純粋に学資保険としても元本割れするとは・・・。
ちなみに保険料を12歳で払い終えるタイプや他のパターンも調べましたが、どのパターンでも元本割れしています。
元本割れするとわかっていても契約するメリットって何なんでしょう?
やはり「ゆうちょ」、「かんぽ生命」と言ったブランド力と安心感でしょうか?
あとは郵便局が身近な存在であるからだと思います。
全国に郵便局は何店舗あるかご存知ですか?
調べてみたところ2019年7月現在、営業している郵便局は全国で2万店以上にも及びます。
家の近所にある金融機関と言えば郵便局という方が一番多いでしょう。
そのため、保険選びにしても一番身近な郵便局で販売されている、かんぽ生命を選ぶ人が多いのは自然な流れと言えます。
保険選びにこだわりがなければ、気軽に立ち寄れる郵便局でお願いするのが楽ですからね。
このことから、元本割れをするにも関わらず、かんぽ生命の学資保険を選ぶ人は、数多くの保険会社の学資保険と比較した上で「はじめのかんぽ」を選んだのではなく、最初から、かんぽ生命1択で契約した人がほとんどでないのかと推測します。
保険に入るつもりはなくても、郵便局に行ったときに局員に勧められて加入したという人も多いでしょう。
かんぽ生命側とすればライバルがいないわけですから無敵ですよね!
というわけで、学資保険を契約したら元本割れするという契約者にメリットがない保険であっても簡単に契約に結び付けられるのです。
ただし、これからは、かんぽ生命も今までのように契約数は増やせないでしょう。
契約者に不利益となる契約を結ばせていたことが発覚したので、さすがにもう消費者も気付いているはずです。
学資保険「はじめのかんぽ」については、業務上、特に問題にはなっていませんが、契約内容を見る限り元本割れしてしまうので、私はおすすめできません。
学資保険選びはどうすればいい?
かんぽ生命の学資保険「はじめのかんぽ」は元本割れをするのでおすすめしません。
では、どこの学資保険を選ぶのが良いのでしょうか?
保険を扱う会社は多数あるので、1社ずつ商品の説明を聞いて比較しようと思えば気が遠くなりそうですね。
結果的に近場の郵便局でお願いするということになってしまいかねません。笑
では、どうすれば効率的にそれぞれのご家庭に合った学資保険を探すことができるのか?
おすすめは、ファイナンシャルプランナー(FP)に相談することです。
ファイナンシャルプランナーはお金の専門家です。
おすすめの保険を紹介するだけでなく、家計の相談にも応じてくれます。
家族構成や収入、生活パターンからライフプランの提案まで幅広い相談が可能です。
私も、結婚を機にFPに相談をして人生設計を立てました。
ファイナンシャルプランナーに会うには?
FPに相談すれば良いと言ってもFPの知り合いがいないという人がほとんどだと思います。
安心してください。
知り合いにFPがいなくても、FPに相談することは可能です。
ほけんの窓口のような店舗に行けば、FPによる保険の相談が無料で受けられます。
近くに保険相談の店舗が無い場合は、FPが指定の場所まで無料訪問してくれるシステムもあります。
保険見直しラボや保険チャンネルといったサイトから予約をするとご自宅や近くのカフェ等、希望簿場所で学資保険や家計の相談を無料で受けることができます。
特に、学資保険を検討中の方は、小さいお子様がいらっしゃる方が多いと思うので、人目を気にしなくて良い場所を選べるのは便利ですね!
私にも0歳の息子がいますが、保険の相談はFPの方に家まで来て頂きました。
自宅までの交通費等の請求もありませんし、無料で相談に応じてくれるので助かりました。
どこかの保険会社のような押し売りのようなセールスもありませんでした。笑
特定の生命保険会社であれば自社商品しか案内できませんが、FPは複数社の中から一番合った保険を紹介してくれます。
また、気になった保険の比較にも応じてくれます。
教育費の積立は学資保険じゃなくても良い
大学進学時の時に備えたお金の貯蓄と言えば学資保険というイメージがあると思います。
しかし、学資保険でなくても貯蓄機能がある保険はあります。
我が家の場合、学資保険には入っていません。
その代わり、終身保険を学資保険代わりにしています。
子供が産まれたタイミングではなく結婚時に終身保険に加入しました。
私が契約しているのは低解約返戻金型のドル建終身保険で10年払いにしています。
ドル建なので解約時の為替次第で返戻金が代わりますが、仮に2019年8月現在のレート、1ドル106円で計算すると息子が大学進学時に解約すれば返戻率は116%くらいになっています。
払込金額が300万円であれば348万円で返ってくる計算です。
かんぽ生命の学資保険は払込金額以下でしか返ってこないのに対し、私が加入している終身保険であれば、かなり得をする計算になります。
終身保険のメリットは、解約のタイミングを自由に設定できる点です。
学費を払うのに困っていなければ、解約せずに貯金で払うという選択もできます。
終身保険なので、死ぬまで解約しないという選択肢もあります。
元々、終身保険はあくまで終身保険のつもりで加入したつもりでしたが、学資保険代わりに利用するのもありですよ!とアドバイスしてくれたのはFPさんでした。
FPの仕事は保険を売るだけではありません。
人生設計すべてを包括的にプロデュースしてくれます。
最終的に決めるのは自分
学資保険はどこにするか、そもそも保険は必要なのか等、選択肢は無数にあります。
それに対してFP等アドバイスをしてくれる人はいますが、最終的に決めるのはご自身になります。
かんぽ生命で不適切な契約を結ばせていた事例が多発して問題となりますが、この責任はかんぽ生命だけでなく、契約内容をよく理解しないまま契約してしまった契約者にも問題があると私は思います。
学資保険は100万円以上かかる大きな投資でもあります。
かんぽ生命の場合、契約者にとって不利な内容で契約を結ばせていましたが、契約内容を破ったわけではありません。
自分が支払ったお金がどのように運用されいくらで戻ってくるのかきちんと理解した上で納得した判断を下すことをおすすめします。