かんぽ生命保険で不適切販売が発覚
2019年6月に、かんぽ生命保険が顧客に対して不適切販売を行っていたことが発覚し、大きな問題になっています。
かんぽ生命の販売員には厳しいノルマが課せられていました。
本来であれば、顧客にとって最良のプランを紹介するのが販売員の仕事です。
しかし、かんぽ生命保険では、そのような正攻法が評価がされないシステムになっていました。
ノルマが厳しく設定されているらしく、販売員は顧客の為ではなく自分の評価を上げるための提案をするようになっていたのです。
かんぽ生命では「新規契約」か「乗り換え」かで販売員の評価が大きく変わってきます。
評価が高いのは新規契約です。
厄介なのは、新規契約の定義にありました。
かんぽ生命の評価体制には、いくつかの問題点がありました。
二重払い問題
かんぽ生命では顧客に商品の乗り換えを提案し、旧保険Aと新保険Bの保険料を二重で徴収する事例が2万件以上発生していました。
販売員が顧客に対して、なぜ二重払いをさせるような契約を結ばせたかというと、事実上、乗り換え契約であっても旧保険Aを解約せずに新保険Bに加入した状態で6ヶ月以上経過すると新保険Bが「新規扱い」になるからです。
一方で、旧保険Aを解約し新保険Bを契約すると当然ながら新保険Bは「乗り換え扱い」になります。
顧客としては乗り換えがベストなのですが、販売員としては乗り換えだと評価があまり上がらないので不都合なのです。
旧保険Aを解約せずに新保険Bを契約しても、新保険B契約後6ヶ月以内に旧保険Aを解約してしまったら新保険Bは「乗り換え扱い」になってしまうというルールになっていました。
販売員は報酬を上げるために、何としても新規扱いにする必要がありました。
そのため、顧客に対し乗り換えではなく二重契約を結ばせていたのです。
顧客の立場からすると二重契約するメリットは何もありません。
無保険期間問題
販売員によっては、さすがに二重契約、二重払いは顧客に対して申し訳ない。
そう思う人もいたのでしょう。
かといって新規を取らないわけにもいけません。
そこで思いついたのが、無保険期間の設定です。
二重契約の場合、旧保険Aと新保険Bの二重契約期間が6ヶ月ないと新保険Bが新規扱いになりません。
ところが、旧保険Aを解約してしまった場合、4ヶ月間無保険期間を作れば、その後、新保険Bと契約した際に新規扱いになります。
このことを利用したのが無保険期間問題です。
二重徴収と比べると、多少は顧客に寄り添った提案な気もしますが、無保険期間中に何かあったら、どう責任を取ってくれるの?と言いたいですね。
契約満2年解約問題
2019年7月12日の西日本新聞の記事によると、かんぽ生命保険に加入して2年後に解約する人の割合が最も多いというデータが出ています。
(西日本新聞HPより画像引用)
販売員は新規契約を取っても顧客が2年以内に解約してしまうと手当金を返さなければいけないというルールが存在するようです。
販売員としては、2年以内に解約されてしまうと困ります。
しかし、2年経過してしまえば関係ありません。
このデータから、二重払いや無保険期間を設けて乗り換えさせられているのは、保険加入から2年経過した顧客ということが言えます。
販売員は、かんぽ生命保険未加入の純粋な新規顧客を探すより、既に加入済みの顧客を新規として契約させた方が手っ取り早いと考えたわけですね。
かんぽ生命保険問題まとめ
以上のことから、かんぽ生命保険は顧客の利益を無視して、販売員や会社が儲けるための営業をしていたことが言えます。
かんぽ生命のやり方は、あまりにも酷いのでここまで大きな問題になりましたが、顧客のことよりも自社の利益を優先して商品を勧めてくる会社はいくらでも存在します。
保険会社の言葉巧みな営業トークに騙されないためには対策が必要です。
保険選び・見直しで失敗しないために気を付けるべきポイント
前置きが長くなってしまいましたが、ここからが本題です。
かんぽ生命のような悪徳商法に引っかからないため、自分に最も適した保険を見つけるためには、具体的にどうすれば良いのかというお話をしていきます。
保険選びや保険の見直しで失敗しないためのポイントとして5つ挙げていきます。
①保険会社の名前やイメージだけで選ばない
誰もが知っている有名保険会社の保険であれば安心。
CMも放映しているし、怪しいはずがない。
そう信じている人が多いです。
かんぽ生命保険でこれだけの不正が発覚したのは、多くの人が、かんぽ生命を信用をしていた為です。
保険のことはよくわからないけど、かんぽ生命の人が言うことであれば間違いない。
そう信じていたのに、保険会社の営業員は自分のノルマ達成のために手段を選ばず、顧客にとって不利になる契約を結ばせていました。
知名度が高い保険会社が、顧客第一の良い保険を紹介してくれるとは限りません。
今回は、かんぽ生命が問題となりましたが、他の保険会社も100%信用できるとは限りません。
保険会社のイメージだけで保険を選ぶのは危険です。
②生保レディや営業員の口車に乗せられない
保険の営業員は話が上手です。
保険料が二重請求される契約、無保険期間がある商品の乗り換えなんて、常識的に考えたら顧客に対して絶対におすすめしません。
顧客も普通そのような条件を提示されたら断るはずです。
それでも、かんぽ生命保険では、上記のような信じられない契約が数万件も交わされていました。
営業員が言葉巧みに言いくるめて、不利になることは言わずに契約させていた可能性があります。
③理解できない保険には加入しない
保険選びは保険会社に任せてしまうと、内容をよく理解しないまま契約してしまう人が多いです。
かんぽ生命保険の件でも、顧客が保険の乗り換えを勧められた際に、新旧保険の二重契約の期間があることや無保険期間が生じる契約を結ばされそうになっていることを理解していれば、このような問題は発生しなかったはずです。
保険の見直しをすること自体は悪くありません。
ただ、保険会社が乗り換えを勧めてきたからといって、言われるがままに契約しなおすのは避けましょう。
もし、保険を見直すのであれば下記項目くらいは即答できるくらいの知識をつけてからにすることをおすすめします。
- 今までどのような保険に入っていたのか。
- 乗り換えることのメリット・デメリットは何なのか。
- 乗り換えのタイミングはいつがベストなのか。
- 新旧保険で二重請求される期間がないか。
- 無保険状態の期間はないか。
保険会社のカモにされる恐れがあります。
保険会社にメリットのある商品ではなく、自分にとってメリットのある商品を選びましょう。
④1社だけで決めずに複数社の保険を比較する
よく調べた上で、保険を見直した方が得だとわかったとしても、契約するのは、まだ保留にした方が良いです。
他社には、もっと優れた保険商品があるかもしれません。
とはいっても、保険会社1件1件に相談しに行くのは非常に手間がかかります。
わざわざ外を出歩かなくても、インターネットができる環境があればウェブから各保険会社の商品について調べることができます。
それでも、専門用語が多くてわかりにくいという方もいると思います。
そんな時はFP(ファイナンシャルプランナー)にご相談されてみてはいかがでしょうか?
保険見直しラボや保険の比較相談といったサイトから申し込みをすれば、FPが無料で保険の相談に応じてくれます。
FPは保険会社と違い、いろんな会社の商品知識があります。
そのため複数社の商品の中から、あなたに適した商品をいくつか紹介してくれます。
各保険会社の比較についても質問すれば答えてくれます。
生命保険会社からAという保険からBという保険に乗り換えた方が良いという提案が来ているが、本当に乗り換えた方が良いのか?といった相談でもOKです。
⑤最後に決めるのは自分自身
①~④のステップを踏んだ後は自分で決めるしかありません。
保険の見直しを考えている方であれば、今の保険のままで良いのか?
他の商品に変えた方が良いのか?
保険は必要ないと感じ解約するのか?
最終的に結論を下すのは、自分自身になります。
ここまで勉強すれば、自信を持ってベストな選択をすることができると思います。
まとめ
保険選びや保険の見直しを行う際は、販売員の言いなりになってはいけません。
保険会社の販売員の多くは自分の売上やノルマ達成のために、お客様の利益になる商品より自分が儲かる商品を勧める傾向があります。
検討している商品の内容について他人に説明できるくらい正しい知識を身につけることで、かんぽ生命保険のような不適切な契約を結ばされることを回避できます。
最終的には保険の販売員でもFPでもなく自分の知識を信用して保険を選べるようになりましょう。