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昔は要らないものは店に売りに行くしかなかった
インターネットやスマホが普及する以前は、着なくなった服、使わなくなった商品を売ろうと思えば、古着屋やリサイクルショップ、質屋で売るというのが一般的でした。
もちろん、これらの販売手法は今でも残っています。
しかし、店に売りに行く人の割合は年々減っています。
従来からある古本屋、古着屋、リサイクルショップといった、店を通してエンドユーザーに販売する手法はCtoBtoCビジネスになります。
売り手(customer)→店舗(business)→買い手(customer)の流れです。
CtoBtoCビジネスは売り手があまり儲からない仕組みになっています。
店舗ができるだけ安く買い取って、エンドユーザーに再販するからです。
売り手としては捨てるよりマシ。
高く売れればラッキーという感覚です。
使い込んだ商品が要らなくなったら売るというのが昔からある中古の考え方です。
古着屋に行けば、使い古したヨレヨレのシャツなんかが売っています。
ヤフオク!の普及でCtoCビジネスが浸透
インターネットの普及により、中古販売で最初に流行りだしたのはネットオークションです。
有名どころではヤフオク!が挙げられます。
これによりCtoCビジネスが大きく進歩しました。
CtoCビジネスとは消費者が店を介さずに直接エンドユーザーへ商品を販売するビジネスです。
ヤフオク!では店を仲介せずにダイレクトで次の消費者に販売することができます。
店舗を仲介しなくて良いので、その分、高値で売ることができます。(ただしヤフオク!への手数料はかかります)
取引は自宅のパソコンあるいは、スマホで24時間いつでもできます。
基本的に店に売りに行くより高く売れるので、利用者が急激に増えました。
では、昔はCtoCビジネスがなかったかと言うとそういうわけではありません。
蚤の市、フリーマーケット、バザーはCtoCビジネスでネットが普及する以前から存在しました。
昔からCtoCビジネスはあるのに、なぜそこまで広まらなかったかというと、気軽に出品できないからです。
蚤の市であれば、イベントが開催される日しか出品することができません。
しかも、一日中外で売れるのを待ち続けなければいけません。
売れる保証もありません。
ヤフオク!以前のCtoCビジネスは、蚤の市等、イベントがないと販売機会がないのです。
出品しても売れる保証はなく一日中拘束されるので、誰でも気軽に始められるビジネスではありませんでした。
その点、ヤフオク!は出品したら、後は基本的に落札されるのを待つだけです。
時間も場所も拘束されません。
売れなくても再出品すれば良いだけなのでリスクがありません。
この利便性がネットユーザーに受け入れられ、利用者が急増しました。
インスタの登場で消費の概念が変化
今は若者を中心にInstagram(インスタグラム)が流行っています。
インスタグラムは写真を公開するSNSです。
自分の写真を公開するのに、いつも同じ服を着ていたらダサい。
そんなわけで、インスタグラマーには服が沢山必要になります。
しかし、インスタグラマーの多くは学生です。
沢山服を買えるほどお金がありません。
かといって同じ服や安物の服ばっかり着るのは恥ずかしい。
そんな時代の流れで彼らはある答えにたどり着きました。
それは、
高い服を買って高く売る。
ということです。
例えば、3,000円の服を買うより10,000円の服を買って、何回か着たら新品に近い状態で7,000円で売るというやり方をします。
そうすることで、10,000円の服を実質3,000円で手に入れることができます。
売れるものを買う時代へ突入
インスタグラムの普及により商品の消費サイクルが早くなりました。
昔は洋服であれば、長年使用して傷んだら買い替えるという考え方が当たり前でしたが、今は若者を中心にその考え方が変わりつつあります。
それは、良いものを買って高値で売れるうちに売ってしまうということです。
良いものを長く使う時代から、良いものは古くなる前に売って、新しいものを手に入れる時代へと移り変わりつつあります。
10,000円で買った服が7,000円で売れれば実質3,000円で良い服を手に入れたことになります。
更に売れたお金の7,000円を元手に新しい服を買います。
仮に再び10,000円の服を買ったとしても7,000円の元金があるので負担は3,000円で済みます。
3,000円程度であれば学生でもバイトをすればすぐに貯まりますよね!
このお金の流れを可能にしたツールがあります。
それはフリマアプリです。
1番有名なのはメルカリですね。
ヤフオク!は、いくらで落札されるかわからないというデメリットがあります。(設定次第では売価を決めることもできますが)
メルカリの場合、売り手が自由に売価を設定できるので、売れ残ることはあっても、想定外の安値で手放すことはありません。
ユーザーの年齢層もヤフオク!よりメルカリの方が低いのでメルカリの方が圧倒的に若者から支持されています。
インスタとメルカリの台頭により、若者の消費サイクルは非常に短くなりました。
買う→売る→買う→売る
のサイクルが小刻みに行われています。
売ることを前提に買い物をしていることがわかりますね。
セール品が売れない
アパレルショップの店員さんの話によると最近セール品の売れ行きが悪いそうです。
半額セールと聞けばお買い得な気がしますね。
セール品でも品質が下がる訳ではないので、長く使用すればお得だと思います。
しかし、若者の考えは違うようです。
セール品を買わない理由
それは、
買っても高く売れないから
だそうです。
いくらで買うかよりも、いくらで売れるかの方が彼らにとっては重要な問題です。
売れ残りの古い商品に価値はないという判断ですね。
「売れるものを買う」は若者だけの価値観ではない
若者の例を挙げたので、「売れるものを買う」という価値観は若者に限定されたものと思われるかもしれませんが、そういう訳ではありません。
我々大人達にもこの価値観は根付いてきています。
我が家は最近マンションを購入しましたが、不動産屋さんと話をしていると不動産においても同じ現象が起きているようです。
それは将来マンションを売ることを前提に買う人が増えてきているということです。
昔であればマイホームを購入したら、そこを終の住処として捉えるご家庭が多かったのですが、最近はその傾向が変化してきています。
35年ローンを組んだとしても10年、20年経ったら住み替えしようかな、あるいはローンを払い終わったら引っ越そうかなと思っている人が増えてきています。
そこで気になるのは将来の資産価値です。
一生住み続けるつもりであれば、資産価値はあまり気にする必要がありません。
しかし、住み替えが前提であれば資産価値が重要となります。
ローンが残っていても、ローン残額以上の値段で売れれば、それを元手に住み替えが可能だからです。
不動産に関しても価値が下がる前に手放して現金化してしまった方が良いと考える人が増えてきているようです。
1つのもの執着しない時代へ
1つのものを大事にずっと使い続けるということは良い事だと思います。
しかし、時代の流れとしては、1つのものに執着しないという価値観が浸透してきています。
洋服にしても家にしても売ることを前提に買う人が増えてきているのは、そのためです。
仕事にしても、昭和の高度成長期であれば終身雇用で定年まで1つの会社で働くのが当たり前の時代でした。
最近では、転職するのが当たり前の時代になってきています。
時代は平成から令和へと変わりましたが、人々が考える価値観もこれからどんどん変わっていきそうですね。