人生を豊かにしてくれる手段の一つとして読書があります。
本では自分と違う考え方や新しい知識を学べるので、できるだけ多くの本を読んだ方が良いです。
しかし、読書において大事なのは、ただ多くの本を読むことではありません。
本を読んだことによって、あなたが何を学び、どう変化したかが重要です。
本を1回読んだだけで理解した気になって、同じ本を2度と読まないという人が多いですが、これは非常にもったいないです。
なぜなら人間は忘れる生き物だからです。
人の記憶に関する有名な研究に「エビングハウスの忘却曲線」というものがあります。
ざっくり言うと記憶を定着させるには反復学習が必要ということです。
せっかく良い本を読んでも、読んだ内容を忘れてしまっては意味がありません。
受験生は教科書を1回読んだだけですべて暗記できるか?
学生の頃を思い出してみて下さい。
教科書を1回読んだだけで内容をすべて理解できますか?
単語帳を1回読んだだけですべて覚えられますか?
もし、1回ですべて覚えられるのであれば、反復学習の必要はありません。
たまに本をパラパラとめくっただけで内容を理解できる天才がテレビで紹介されますが、
それは本当に特殊な例であって、一般人にとってすべてを1回で覚える、理解するということは不可能に近いです。
通常、学んだことを頭に入れようと思えば、何度も繰り返し学習する必要があります。
エビングハウスの忘却曲線では、できるだけ短いスパンで反復学習を繰り返すことで記憶が定着することが証明されています。
たとえば、1回だけ読んだ本の内容を思い出そうと1年後に読んでみたらどうでしょう?
ほとんど内容を忘れていることに気付くはずです。
ほぼゼロに近い記憶でもう一度覚えなおそうと思っても、かなりの労力を要します。
では、初めて読んだ本を1日後に読んだらどうでしょう?
少なくとも、半分くらいの内容は覚えているでしょう。
そのため、2回目の読書では忘れていた部分を覚えなおし、覚えていた部分は反復学習により、記憶が定着します。
受験生は同じ教科書を何度も反復学習することで知識を増やしています。
たまに参考書マニアと言って、1つの科目に何冊もの参考書を買う人がいます。
有名講師の参考書を買いあさって、一通り読み終わるとなんだか急に賢くなったような気になりますが、残念ながら、それは気のせいです。
何を隠そう私自身が参考書マニアだったので、そのことは痛感しています。
私は、参考書を集めるのは好きでしたが、どの本も中途半端にしかマスターできませんでした。
その結果、受験に失敗しました。
では、どんな人が受験に成功しやすかったかというと、私の体験談としては、各科目参考書は1冊に決めて、それをとことんやり込むタイプの人が成功する傾向にありました。
広く浅く学ぶより、1冊の本を完璧にマスターすることを目指した方が、はるかに効率的ということが言えます。
読書も勉強と同じ。繰り返し読むことで効果が発揮される。
受験勉強や資格の勉強であれば、テキストを何度も読み直すのに、読書となると1回で満足という人が多いです。
読書は受験でも資格でもないので、楽しみ方は人それぞれですが、1回読んで忘れるくらいなら読む意味は、あまりないと私は考えています。
とはいえ、多読を否定するつもりはありません。
できるだけ多くの本を読んだ方が、自分の視野が広まります。
私のおすすめの読書法は、とりあえず多くの本を広く浅く読んで、お気に入りの何冊かを決めるということです。
お気に入りの本については何度も繰り返し読みます。
繰り返し読むことで、自分の思考が筆者に近づきます。
一方で、せっかく良い本を読んでも、その後全く読まなければ意味がなくなってしまいます。
私は多読もするので1回読んでご無沙汰という本も多数あります。
そんな本を数年ぶりに手を取ってみてみると、まるで初めて読んだかのような錯覚に陥ることがあります。
読んだ内容を忘れてしまったら、過去に本を読んだ時間は無駄になってしまいます。
読書の時間を無駄にしたくなければ、できるだけ短いスパンで反復学習する必要があります。
一番大事なのは読書によって、あなたの行動がどう変化するか
資格や受験勉強であれば、単語や公式を覚えればそれで終わりです。
しかし、読書は覚えるためにやることではありません。
一番大事なことは、本を読んだことによって、あなたの行動がどのように変化するかです。
まるで他人事のように本を読み、感想だけ言って何も行動しない人が多いですが、これでは読書の意味はありません。
本の批評家を目指しているのであれば、それで良いのかもしれませんが、多くの人は自分自身の成長のために本を読んでいます。
自分を変えようと思って読書しているのならば、同じ本を繰り返し読み、学んだことを行動に移せるようにならなければいけません。